予備校レポート Yobiko Report

「佐野らーめん店」で新しい人生を歩んでいく受講生や講師の方たちを、佐野らーめん予備校スタッフが直撃取材しました。

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佐野市そして全国に、佐野らーめんを浸透させるために尽力。
現在も抱く夢は、佐野市がさらにもっと活気付くこと。

ゲスト
佐野ラーメン本舗「つるり」
上岡 一雄会長
作成日 2022.11.30

上岡さん

今回のレポートは、創業137年の歴史を誇る、佐野ラーメン本舗「つるり」さん。地元佐野で製造した佐野らーめんのお土産を販売し、県外にもファンが多い老舗です。長年、佐野らーめんに関わり、その成長を見てきた代表取締役 会長の上岡さんに、お土産用ラーメンを手がけることになったきっかけや、佐野らーめん予備校に期待することなど、お話を伺いました。

創業は明治18年。130年以上も続く、老舗中の老舗。

つるりさんの歴史は古く、明治18年に会長の曾祖父 上岡紋蔵氏が、現在地で製麺業を営んだことが始まりです。当時は、店頭で手打ちのうどん・そばを販売していました。その後、九州の発明家・真崎照郷氏が木製の製麺機を開発。つるりさんは、いち早く購入するとともに乾麺の製造技術を学び、乾麺の製造販売を始めました。まだ競争相手もいない時期だったため、独占的に販売することに成功。当時3万人住んでいたと言われる足尾銅山の街に貨車で納入するほどのニーズがありました。その他にも、近隣の日用品を売る万屋、酒屋、食品店に卸売を開始。その後さらに、味噌、醤油、練炭、豆炭などを加え、卸売業を充実させていきました。

即席麺の誕生で、食品業界は大きな変化を余儀無くされる。

昭和30年代に入ると、即席ラーメンが販売されます。参入するメーカーも相次ぎ、即席麺の人気に火がつくと、乾物麺が少しずつ売れなくなっていきました。上岡会長は、食品業界に大変化がおきたと、当時を回想してながら教えてくれました。つるりさんも、生麺の製造に転換しますが、当時つるりの乾麺が地域で一番売れていたため、他社と比較し生麺への転換が遅れてしまったそうです。
そこで、何か他社と差別化できることはないかと考え、たどり着いたのが機械ではなく「青竹打ち」製麺法で、麺をつくることでした。中国人から伝えられた「青竹打ち」でラーメンをつくる食堂が、幸いにも近隣に何軒か残っていたため参考にしたそうです。しかし、スーパーの店頭では、低価格のラーメンが販売されていて、乾麺と同じような爆発的な売れ行きとまではなりませんでした。

ご当地ラーメンブームをきっかけに、お土産分野に進出。

しかし、時代に新しい風が吹いてきます。「ご当地ラーメン」ブームの到来です。ブームを牽引したのが福島県の「喜多方ラーメン」。連日テレビや新聞、雑誌などのメディアで取り上げられ、チェーン店も数多く出店しました。上岡会長が、視察を兼ねて喜多方を訪れると、ある場所で大変驚くことになります。それは、駅前の大きなお土産屋さんで、お土産用のラーメンが販売されていたことです。当時ラーメンの売り場は、食堂や工場の給食、スーパーでの袋詰、パック詰しかないと思っていたのに、お土産屋さんで売られていたことに大きな衝撃を受けたそうです。そこで自分たちもお土産用のラーメンをつくろうと決心。全く新しい事業の始まりとなりました。

佐野市を訪れた人が、お土産として購入。美味しさからリピーターが続出。

土産用のラーメンで一番苦労をした点を伺うと、いかに「日持ち」させるかだと教えてくれました。一般的なロール機械製麺で作られた麺は、水分が30%前後。「青竹打ち」の麺は水分45%〜50%もあります。多加水の麺は美味しいのですが、日持ちはしません。お土産としては不向き、どうやったら日持ちできるのか、そこには相当な苦労があったそうです。苦労の末、やっとお土産として販売できるラーメンが完成した頃、さらに追い風が吹きます。それが「佐野らーめん」ブームです。認知度が高まり、高速道路の売店やゴルフ場の売店など、佐野を訪れたお客様がお土産として購入。「青竹打ち」の美味しさ、最後の一滴まで飲み干したくなるスープに感動し、リピーターが続出しました。一目見ただけで忘れられないお土産用のパッケージ。ぎっしり書かれたラーメンの情報、インパクトのある色味、全て会長が手がけています。

手間がかかっても青竹打ちにこだわり、地元佐野で製造する麺。

青竹打ち麺は、なぜ美味しいのか。その理由を丁寧に解説していただきました。機械ではなく、青竹で麺を伸ばすので、気泡が残ります。風船を手で上から押すと反発するように、気泡が残ると噛んだ時に反発力があって弾力を感じます。しかも舌触りと滑らかさに特徴が出て、美味しい。また、麺に空気が多いので、火の通りが早い。つるりさんの麺がわずか45秒で茹で上がるのは、そういった理由からです。青竹打ちは、とても手間がかかります。それでも青竹打ちにこだわるのは、もちろん美味しさ。そして地元である佐野で製造し続けるのも、佐野らーめんとしてのこだわりでありプライドがあるからです。

佐野らーめん予備校ができたことは、素直に嬉しかった。

佐野らーめんの普及、認知度向上に尽力してきた、上岡会長。佐野らーめん予備校プロジェクトの話を最初に聞いた時は、大変嬉しかったそうです。佐野らーめんを一過性のブームで終わらせるのではなく、新しい人を育て、後世に続くようにしようという思いや考えを持っている人がいるということに感激したと教えてくれました。今後、佐野らーめん予備校に講師として教壇に立つ予定だそうです。これまでご自身が見てきた佐野という街、佐野らーめんが広く認知された時代、つるりさんが時代の移り変わりの中、立ち止まることなく事業を継続し続けてこられた理由など、予備校生ではなくても聞きたくなる、お話が盛りだくさんの授業になると思います。

佐野市、佐野らーめんの発展が、何よりも夢。

上岡会長は、佐野市に観光に訪れる人がもっと増えて、さらに元気になって欲しいという夢があるそうです。例えば、佐野らーめん横丁という新しい横丁が誕生し、そこに佐野らーめん予備校の卒業生たちがラーメン店を出店する。きちんと基礎から学んでいるから、美味しさは折り紙つき。きっと繁盛するだろう。さらに発展して行けば、新たな商店街も出来、観光客も増えて街も活気付いていく、と次々と佐野市の理想像を語ってくれました。 自社の成長だけでなく、佐野の発展を常に思い描いている上岡会長。佐野らーめん、そして佐野市民を愛しているからこそだと、お話を聞きながら実感しました。

店舗情報
  • ・店名:佐野ラーメン本舗 つるり
  • ・住所:栃木県佐野市高砂町2863
  • ・TEL:0120-014-261
  • ・営業時間:10:00~16:00
  • ・定休日:日曜・祝日
  • 店舗公式ホームページはこちら

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