予備校レポート Yobiko Report

「佐野らーめん店」で新しい人生を歩んでいく受講生や講師の方たちを、佐野らーめん予備校スタッフが直撃取材しました。

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ご当地ラーメン総選挙のその先へ。
予備校の学びとつながりが拓く佐野らーめんの未来。

ゲスト
佐野らーめん 佐よし
佐藤 義之さん
作成日 2026.03.16

ご当地ラーメン総選挙の優勝から数か月。『佐野らーめん 佐よし』店主・佐藤義之さんを訪ね、現在の心境と今後の展望をうかがいました。創業から数年、着実に歩みを重ねてきた佐藤さんは、優勝の裏側に加え、味の変化や息子との挑戦、そして佐野らーめんのこれからについて語ってくれました。個人の栄誉にとどまらない、その視線の先を追います。

街全体の追い風となったご当地ラーメン総選挙の優勝。

昨年のご当地ラーメン総選挙での優勝——。今回、佐藤さんを2年ぶりに訪ねたのも、この快挙がきっかけでした。反響は大きく、売り上げは1.5倍から2倍に伸び、常時客足が途絶えることがないほどになったといいます。自店の変化を語る一方で、佐藤さんが顔をほころばせながら嬉しそうに語ってくれたのが、同業から届いた知らせでした。「うちだけじゃなく、他の店も去年より正月の客入りが良かった」と連絡があったのだそうです。佐野の街には200を超えるラーメン店が軒を連ねています。その中で、自分の挑戦が街に少しでも良い流れを生めれば——。佐藤さんがご当地ラーメン総選挙という舞台に挑み続けてきたのも、佐野らーめんブランドのさらなる向上を願ってのことでした。佐藤さんの目線は、常に佐野らーめん全体の未来に向いていました。

佐野らーめんと、自分「らしさ」の調和が生む進化。

もちろん、自店の佐野らーめんの追求も怠らない佐藤さん。「以前は、佐野らーめんに寄せながら自分の味を探っていたんですよ。今は、自分が“本当に”うまいと思うものを出しています。それが結果的に佐野らーめんであればいい」と、堂々と語ります。さて、その一杯は——醤油は決して前に出過ぎず、出汁の旨みを引き立てる存在。輪郭はなめらかで柔らかく、それでいて芯はぶれていません。チャーシューには、肉専門店で扱われることが多い枝肉を使うこだわり。赤身はしっとりと柔らかく、臭みはまったくありません。脂も過度に主張せず、赤身の旨みを支える上品な味わい。奇をてらわず、しかし確実に磨かれた仕上がり。まさしく佐野らーめんでありながら、そこには確かに“佐よしらしさ”が宿っています。

スープの前に学ぶべきこと——現場で身につく力。

「スープの中身を知りたがる前に、まず現場を知ること」。そう話し始めた佐藤さんは、「店舗研修で最初に学ぶべきことであり、一番大切なのは接客です」と力を込めます。味が良ければ売れるという単純な世界ではありません。接客の質で、お店の印象は大きく左右されます。最初の声掛けが弱ければ、それだけでお客様にはマイナス印象です。現場には、ほかにも多くの学びがあります。効率的な動線づくり、忙しい時間帯での対応、ピーク後の立て直しなど。予備校には未経験から挑戦する人も多く、実際の店舗で営業の流れを体で学ぶ実地研修は欠かせない経験となっています。これまでにも多くの予備校生が現場で経験を積み、自分の店を持つ夢を実現してきました。未経験であればなおさら「研修では、まず一生懸命やること」。佐藤さんの言葉からは、大きな熱量が伝わってきました。

続く人と続かない人。その違いは…。

成功する人と、続かない人の違いについて尋ねると、佐藤さんは迷いなく「覚悟」と答えました。例に挙げてくださったのが、早朝からの営業で人気を博す『柿の木』さんです。定年まで会社勤めを全うしてきた、その積み重ねが支える強い精神力があったといいます。経営は「佐野らーめんが好き」だけでは続きません。経営判断、体力、精神力——そのすべてが問われます。どれだけ働くか、いつ休むかもすべて自分次第。ほとんどの判断を自ら下さなければならないからこそ、覚悟の差が結果に表れるのだそうです。さらに、「変えに来た人より、変えざるを得なかった人のほうが強いですね」。だからこそ「逃げなかった人は、やっぱり続きますよ」と佐藤さん。そんな言葉の端々から、現場を見続けてきた重みがにじんでいました。

親子で掴んだ栄冠は、次世代へつながる希望の光。

今回の優勝は、息子の威(タケル)くんとともに掴んだ栄冠でもありました。幾多のイベントで青竹を振り続け経験を積んできた威くんと、「佐野らーめん」の名を上げるために緻密な計画を重ね実行してきた父。その親子二人三脚の積み重ねがあったからこそ、あの優勝の瞬間があったのだと感じさせられます。現在、威くんは佐よしの厨房に立ち、日々の営業を支えています。「店に入ると言ってくれたときは嬉しかったですね」と、少しばかり照れながら語る佐藤さん。その横顔には、父親としての誇らしさがにじんでいました。親子で一杯を作る姿は、単なる家業の継承ではありません。佐野らーめんという文化が、確かに次の世代へと渡されている。その光景は、予備校にとっても明るい希望そのものです。

優勝直後に笑顔を見せる佐藤親子

街を巡り、味わう観光資源。佐野らーめんを全国区に。

佐よしは、地元の方、とくにファミリーに喜んでもらえるお店をテーマに創業されました。その根底にあるのは、子どもたちに、佐野らーめんを誇りに思える大人になってほしいという願いです。佐藤さんは、当時から佐野らーめんの未来を見据えていました。その想いは変わることなく、ご当地ラーメン総選挙での優勝という結果を手にした今、地元だけでなく全国に向けて、さらに佐野らーめんブランドの知名度を広げたいという気持ちも強くなっています。佐野らーめん巡りは、佐野観光の醍醐味のひとつです。あっさりとした味わいだからこそ二杯目へと足が向く。ひとつの店で完結せず、街を歩きながら味わう楽しさが、多くの人を惹きつけています。スタンプラリーの取り組みも行われ、複数店を巡る流れはさらに広がっています。個々の店が競い合いながらも、街全体で佐野らーめんを盛り上げていく——。佐藤さんが思い描いてきた景色は、いま少しずつ理想の形になり始めているように感じました。

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